「い…痛い」
頬をつねられたらしい鈍い痛みを感じながら、嫌々開ける目線の先、
まだ霞む視界が捉えたのは、
適度にセットされた茶髪の緩い髪。
くっきりした二重瞼に髪の色と同系色の淡い栗色の瞳。
悪戯な口元、噛みつきたくなる鼻。
無駄に長い足に、着崩した制服から覗く肌が目を引く程綺麗。
…こんな生き物、知らない。
こんな綺麗過ぎる生き物なんて、知らない。…悪魔?悪魔なの?それとも、天使?
…
「って、あら?瀬名くん?…何してんの?」
よく見れば、その絵に描いた様な完璧なルックスの美形は学園の有名人。
三年の瀬名 瑛人。

