――――――――――――――……デカい、ひたすらデカい、怪物。

あたしは必死に魔法を唱える。だけど、ちっとも何も起こらない。


夢でしょ?これ?じゃあ夢らしく火の玉のひとつくらい出てよ、なんて文句を言いながら。

それに多分、魔法使いのあたしの服装は凹凸のない体に見事に似合ってなくて溜め息しか出ない。

あー、あたしの人生ってずっとこんなもんなのね…


妙に現実的な思考は



不意に訪れた頬の痛みと


「…この馬鹿」




最大級に不機嫌な声と共にかき消された。