飛びそうな意識の中で、遠く、チャイムの音が聞こえた気がした。 …そういえば、今授業中なの? なんで、瀬名くんはここにいる訳? わけのわからない思考の渦がグルグルと回り始めた時、瀬名くんはチャイムの音に少し不機嫌に息をついて、やっとその距離を離した。 あたしは、息苦しさにこの時初めて、呼吸をとめていた事に気付く。なんて馬鹿なのか。 「…やっぱりこの距離だと中の下だね」 瀬名くんはぼんやりしたあたしのオデコにデコピンをしてから、片眉だけ上げて笑った。