長老の家は藁で出来ているような古臭い家かと思ったら、皆と同じ木製だった。

まだ新しいところ、立て替えたのだろうか。

新しい物好きの長老なのかもしれない。

そんな長老、嫌だな。

ウッドは礼儀に精通しているのか、ノックを行う。

「入れ」

慣れ親しんだ日本語を話す。

本当に日本語なのか?

もしかすると、妖魔にしか解らない暗号ではないのだろうか?

だって、おかしな話だぞ?

とある島国の奴らが日本語を理解してるなんて、都合が良すぎないか?

やっぱり、魔力をもっている者にしか解らない言葉なんだろう。

「うんうん」

一人で頷いていると、疑っているような視線でウッドが見ている。

「早く、入れ」

「ああ、すまない」

合っているかどうかも解らないのに、決め付けるのもな。

長老の家に入ると広々とした空間が待ち構えている。

奥には少し大きめな木製机の後ろで椅子に腰をかけている老人が微笑み混じりに様子を伺っている。

長老はアジア系列の顔をしているようだが、気のせいか?

「日本妖魔に会うのは久々だ」

長老はレインと同じく、流暢な日本語を喋っている。

「何?」

日本妖魔に会うのが久しぶり?

日本妖魔が過去にいたというのか?

「そう驚くことはない。気付いているだろう?ウッドや私が日本語を話している事にな」

「長老さんが、日本の妖魔そのものだっていうのか?」

「何ともおかしな話だ。これは何かの運命だというのか」

「それは解らない」

最古の妖魔が日本妖魔だということは、何十年前か何百年前かに何らかの理由で島に辿り着いて、繁殖したということになる。