「龍姫、ありがとう」

俺は通帳を受け取ると、龍姫が何とも言い難い雰囲気を出し始めた。

「それでじゃ、最後にワラワと熱い接吻を」

赤くなりながらも口を向けたところで、接吻はお吟さんが奪っていった。

「むー!」

結局、望み叶わずというところか。

お吟さんの龍姫に対しての情熱は燃え盛る太陽よりも熱いらしい。

「はあ、はあ、吟よ。そなたの気持ちは痛い程に伝わった。じゃが、今回は抑えておれ」

「何を言ってるアル。アチシとお前の中に抑えるという言葉はないアルよ」

「うわあん、丞ちゃあん、吟がいじめてくるのじゃあ」

吟が龍姫にいちゃといて、龍姫が泣くという物がパターン化してきているような気がしている。

そして、ドサクサに紛れて、俺の唇にキスをする龍姫。

前世といえばいいのか、その時にはありえないと思っていた出来事だ。

俺は、女なら誰でもいいのか?

一途な俺は何処にいったのか。

今は気にしても仕方がない。

「うう、やはり丞ちゃんと離別するのは寂しいのじゃあ」

俺の腕に猫のように顔を擦り付けて来る。

「龍姫様、彼は強くなろうとしているのです。我が侭を言ってはなりません」

「じゃが、じゃがじゃなあ、日本でも強くなれるのじゃぞ?」

「すまない、俺は世界を旅したい。そして、そこで強くなりたいんだ」

規格外の妖魔を相手にする事になるかもしれない。

だから、規格外である世界で、強くならなければならない。