「丞ちゃん、今宵は家に泊まってまいれ」

「でも」

俺はすぐに出発しようかと思っていた。

「よいではないか。一日ぐらいゆっくりしていっても構わぬのじゃろう?」

「そうじゃそうじゃ」

あまり似ていない物まねでお吟さんが追撃する。

龍姫は自分に起こる事故に気付いていないのか?

ただ単に俺に泊まって欲しいというだけだろう。

「解った。今日ぐらいはゆっくりしていくよ」

「それでこそ丞ちゃんじゃ!」

龍姫が予想外の強い力で俺の腕を引っ張って、学校付近のビルの方角へと向っていく。

久々の休日。

龍姫の家で、最近買った対戦格闘ゲームをする龍姫にミスマッチ感を感じながら、全敗してしまう。

よほど鍛えたのだろう。

「龍姫様は、誰にでも容赦はございません」

紅玉も何度もやられたに違いない。

しかし、お吟さんがやると龍姫の癖をしっているだけあってか、初めてでも負けはなかった。

ゲームにも、格闘センスが現れるのか。

それとも、ただ単にゲームの素質があるのか。

「そ、そなたは酷いのじゃ!」

龍姫は髪を乱れさせながら、何度も負けている事に悔し涙を流していた。

「もっと子宮を疼かせる闘い方をしなければ、アチシには勝てないアルよ」

結局、最後までお吟さんに勝った者は現れなかった。