「泣いてたかもしんねえな」

龍姫もいたが、記憶のある者の中で最初に思い浮かんだのはお吟さんだった。

「くくく、今晩は寝かせないぞ☆」

今日で、精根尽き果てるかもしれない。

「そういや、まだ答え聞いてなかった」

狐だったお吟さんはこちらを見ているだけで、何もいえなかった状態だった。

「長くなるかもしれないけど、俺と一緒に旅に出て欲しい。頼む」

俺はお吟さんに頭を下げる。

「んー、どんな果実になるのか楽しみアルなあ」

涎を垂らしながらも、俺を見定めている。

考えている事はすぐにでも解ってしまう。

「良いアル。外の世界の男にも興味があるアル」

誰か特定の相手だけというのはないのがお吟さんだ。

「それでも良い」

お吟さんに基礎の基礎を学びたい。

強くなれるのなら、何でもする。

俺達は公園の中へと戻ってくる。

「吟、ずるいのじゃ!ワラワも丞ちゃんにくっつくのじゃ!」

もう片方の腕に、龍姫がくっついた。

「お、おいおい」

俺が女性にくっつかれる要素があるのか解らない。

「とりあえず、喉が渇いてるんだろ。ホラ」

コンビニの袋からコーラを取り出し、龍姫に渡した。

「丞ちゃん、そなたはワラワの事をよく解ってるのう」

ペットボトルに頬ずりした後にコーラを飲み始める。