妖魔03(R)〜星霜〜

「俺と、旅に出てくれないか?」

日本でも出来る事はある。

しかし、閉じこもっているだけでは、駄目だ。

広い世界に出なければ、見えるものも見えない。

「今は、お吟さんしかいないんだ。頼む」

深く、頭を下げる。

「愛されとるな、吟」

「え」

公園の外から歩いてきたのは、龍姫と紅玉だった。

二人とも軽装になっている。

「龍姫?」

「姫ちゃんなのじゃ。そなたはワラワが嫌いとみた」

顔を背けるが、本気では怒っていない。

「姫ちゃん」

「ぬふふ、やっぱり、ワラワはそなたの事が愛しいのじゃ!」

笑顔で抱きついてくる。

隣の紅玉は冷静な瞳で、俺と龍姫とのやりとりを見ていた。

「それは解った。話を聞く前に、お吟さんに変鎖をかけてくれないか」

先ほどの龍姫の台詞を聞く限りでは、狐はお吟さんで間違いないだろう。

「むう、そなたは吟がお気に入りなのじゃな」

「姫ちゃんもだよ。本当に、色々と感謝してる」

「うむうむ、あやつも口を聞けぬのでは不便じゃな」

俺の台詞を聞いてやる気を出したのか、お吟さんの下へと歩いていった。