妖魔03(R)〜星霜〜

「はあ、寒いな」

春風はまだ冷たい。

心の中にも冷たい風が吹き荒れていた。

「どうするかな」

ブランコに乗りながらも、今後の予定を考えていた。

誰かの力を借りるとして、誰がいるだろう。

一人だけ、心当たりがある。

「でも、日本なんかにいないよなあ」

視線を地面に下ろそうとしたところで、視界に何かが入った。

顔を上げてみると、五メートル距離の開いた位置に狐がいる。

大きさは普通の狐よりも少し大きいくらい。

緑色の毛並みを持ち、鋭い眼光で俺を見ている。

色からして、普通ではない。

そして、鋭いというのに、怖くない。

緑という色で、関連性のある妖魔といえば一人しかいない。

「お吟さん?」

お吟さんだとすれば、何故、狐の姿になってしまったのか。

記憶を探ってみると、一つだけ理由がある。

彼女は変鎖に使う魔力を強大な能力に回す事によって、人間の姿から動物の姿へと戻ってしまうのだ。

だから、あの時も動物の耳と尻尾が生えていた。

お吟さんは、言葉を話す事が出来ないのだろうか。

久遠は狐の姿でも話を出来たが、特別なのかもしれない。

でも、お吟さんだったとして、記憶はあるのだろうか。

「もし、記憶がなくても、俺はお吟さんにお願いがあるんだ」

ひとまず、日本にいるという事は置いておいた。