妖魔03(R)〜星霜〜

美咲には記憶がある?

だが、今の状況からすれば、明瞭とした物ではない。

だからといって、今は何も言えない。

誰かに守ってもらうような弱さのままでは、いけない。

「気のせいだよ」

「そう、ですか」

自分が間違っていたと思い、伏目がちになる。

「あの、一つ聞いていいですか?」

「何?」

何かを喋ってしまいそうだったから、逃げたい気持ちでいっぱいだった。

「美咲さんっていう方は、どんな方だったんですか?」

美咲は、自分の事を聞いてきた。

「自分を、犠牲にする奴だった」

生きている者としては、駄目な方向に進んだだろう。

「でも、それは人の哀しみを第一に知っていたから」

俺が彼女に対して何もしなければ、彼女は痛い思いをする事はなかった。

「今度は、犠牲にする事無く、幸せに暮らして欲しいと思ってる」

俺は、強くなる。

俺の知りうる人の敵が襲いかかるというのなら、粉砕できる程に強さを得る。

「あなたの言葉を聞く限りでは、美咲さんは、幸せだったんじゃないかと思います」

抱きしめたくなるほどの。微笑を見せてくれる。

「そうだったら、いいな」