妖魔03(R)〜星霜〜

「すいません」

「いえ、大丈夫です」

目の前の女性は、何事もなく俺を通り過ぎようとした。

しかし、俺は、そうもいかなかった。

「み、さき?」

目の前にある全てが、懐かしい。

死んだはずの女性が、いる。

学校帰りなのか、制服を着ているようだ。

「え?」

自分の名前を呼ばれたせいか、振り返る。

「美咲」

もう一度、呼んで見る。

「はい?」

彼女は訝しげな顔で俺を見ている。

「いや、すまない。人違いだった」

俺は、もう、誰も巻き込みたくはない。

自分自身に力が足りないから、全てを乗り越えられなかった。

「待ってください」

美咲は、俺の手を掴んだ。

「どう、したんだ?」

「いえ、あの、どこかで、お会いしませんでした?」