妖魔03(R)〜星霜〜

「なあ、嘘なら、嘘って言ってくれ」

近づこうとすれば、殺気が高まっているのがわかる。

「アンタの事はよく解らない。それ以上近づくなら、斬るわよ」

構えを解いてない以上は、本気だろう。

「解った。お前は、俺の事を知らない。それでいいか?」

「アンタの事は、何も知らないわ」

考えろ。

俺はコアによって生き返った。

しかし、子鉄の中には俺の記憶が存在しない。

大きな能力だけあって、何かしらの副作用でも起きたのか?

ここで焦っても仕方がない。

再び会えた事は嬉しいが、今は離れた方がいいのだろう。

「助かって、良かったな」

俺は背中を向けて、歩き始める。

「ちょっと、待ちなさいよ」

「もう、用はないだろ」

子鉄の制しを聞く事無く、俺は道を進んだ。

闇の中、俺はどこへ向えばいいのだろう。

家に帰っても、俺を知っている者はいないだろう。

子鉄だけが記憶を失うという事はない。

誰も、頼るべき者がいない。

どこに向う事もなく、俯きながら歩き続ける。

だから、俺を知らない誰かと肩をぶつけてしまった。