「はあ、はあ」

俺には、成すすべがない

最初から、駄目だったのか?

誰かが犠牲になるだけで、救済などどこにもなかったのか?

夢も希望もなかったのか?

「チェリー、お前だけなら、行ける」

「やだ」

チェリーは首を振った。

「もう、一人になるのは、やだ」

「お前」

チェリーは泣いていた。

「はあ」

何の罪もない女の子を救えない。

彼女を包む手も、動かない。

「だったら、一緒に、いるしか、ねえよな」

親父だったら、どうだろうか。

救えただろうか。

いや、比較などしても、無意味だ。

失敗したんだ。

救えなかった。

守れなかった。

ただ、それだけなんだ。

「悔しい、なあ。何で、こんなに力がねえんだろうなあ」

「お前が弱いからアル」

希望の女神の声が、耳に届く。