俺は、派手に転ぶ。

チェリーも釣られるように転んだ。

「ぐう!」

感覚のある部分が傷む。

「チェリー、お前だけでも」

「無理だよ」

絶望に打ちひしがれる彼女は呟いた。

「はあ、はあ、くそ」

匍匐全身をしながら、右腕と片足だけで前に進もうとする。

「お前に死んで欲しくない!俺だって死にたくない!誰も、誰だって死にたくねえんだよ!」

「お兄ちゃん」

涙が出てくる。

痛み、悔しさ、恐怖が押し寄せてきたせいだ。

力が足りない。

「駄目でも、諦めたく、ねえよ」

最後の抵抗である右腕を上げる。

「お前がここにいるのは、俺の責任だ。命を使う事は、惜しくねえ」

見定め、寿命を右手へと集めていく。

しかし、標的となってしまったのか。

右腕も造作もなく打ち抜かれた。

「ぐ、ああ!」

希望の右腕が、地面へと横たわる。