「とにかくな、そんな話はこの島を出てからにしろ」

ティアには恩があるが、話が飛躍している。

抱きしめたから、結婚するという理屈が頭の中にでもあるのか。

「某は、感動しましたぞ!スピーチは某に!」

「お前は独り言でも呟いてろ!」

二人も厄介なものを抱えていると、体力がいくらあっても足らない。

しかし、どこまで行ったんだ?

妖魔達の行動が早すぎる。

もしかすると、すでに表に出ている可能性がある。

「まずい!」

スピードを上げて、廊下を走り続ける。

同じ道を走り続けること、数分。

ついに、人ではない、妖魔の死体を見つけてしまう。

「おい」

声をかけても返事は返ってこない。

体から血が吹き出ているところからすれば、死因は銃で撃たれたのか。

「くそ」

元凶が俺なのは、解っている。

しかし、悔やんでいる暇はない。

チェリーも、いつこうなるか解らない。

再び走り始める。

ついに、基地の入り口にまで辿り着いた。

それまでに見た死体の数は、数え切れない。

圧倒的にテンプルナイツの兵が多いが、妖魔の死体もいくつかあった。

赤い血の色が、目にこびりついて離れなくなってきたところだ。

「はあ、はあ、戦闘は、しなくていいものの、とんでもねえ事になってやがる」

外に出れば、一体どうなるのか。

内から外へは出られるようになっている。