妖魔03(R)〜星霜〜

今度は、自分の背丈が低くはならない。

「マヤの仇を撃ちたかったか?だが、そんな事はさせない!お前には何もさせない!」

心臓付近を貫いたというのに、即死ではないのか。

口から血を吐き、狂気の目を見開く。

「私は、マヤと永遠に繋がる!マヤと共に」

言葉の途中で倒れた。

分離する事なく、死んだのだろう。

雨が、降り出す。

何年ぶりの雨なのか。

次第に大雨となり、辺りを雨音で覆いつくした。

私は濡れながらマヤの傍まで歩いて、抱え上げる。

虚ろな眼差しのまま、口元から血が垂れている。

胸から流れた血は私の腕を伝い、辺りに広がっていく。

「すまない」

持国の言っていた事は確かだ。

私は、マヤを不幸にしたのだろう。

彼女は世界を見ることなく、死んでしまった。

「ああ」

マヤの傍には、手元から落ちたオルゴールがある。

拾い上げて、蓋を開ける。

大雨の中に微かに聞こえるマヤのお気に入りの曲。

オルゴールを誰から貰い、何故曲を気に入ったのか。

それを聞いたとしても、二度と口を開く事はないだろう。

雨と共に流れるのは、涙なのか。

痛みが走れば涙が出る。

当たり前の話だ。

感傷に耽りながらオルゴールを閉じると、再び雨音が耳を打つ。