妖魔03(R)〜星霜〜

「殺す、必要があったのか?」

私の中に生まれているのは、怒り。

「マヤはお前と出会った事こそが不幸の始まりだ」

持国がマヤの身体を抱き上げ頬を舐める。

「何?」

「マヤは微かながらにも、お前を見ている部分があった。それは私が見えなくなり始めたという事。マヤは私を見ておかなければならない」

「あなたのやっている行動が、マヤをそうさせたという事に、何故気付かない」

持国の能力が何かなど、私にとってはどうでもよかった。

ただ、マヤを自分勝手な行動によって、殺した事が許せないのだ。

「私はマヤの全てを愛していた。麗しき身体も、美しき心も、全てだ!」

「あなたの妄想を、マヤに押し付けるな」

「違うな。お前もそう思ったから、独り占めしようとしたのだろう?」

「私が外に連れて行こうとしたのは独り占めしようとしたからじゃない。もっと色んな世界を見せて、世界は廃墟だけではないと教えたかったからだ」

それによって、今までの事が水に流されるわけではない。

持国がやった事はもちろんの事、私がやった事もだ。

「もし、あなたの言う麗しき体があったとしても、独りよがりな行為によって傷を負うだろう、もし、美しき心があったとしても、荒廃した世界にいれば曇ってしまうだろう」

だから、こんなワケの解らない世界から、選択権のある世界へと移してやりたかった。

そこで生きていけるかは、解らない。

ただ、ここにいる事は、何のためにもならない事は確かなのだ。

「それこそが、独りよがりな行動だ!二度と私の元に帰らないのならば、この世から解き放つまでだ!」

目の前の男と話す必要はない。

今、ここにある結果は、私が焦って金を持ってきた事によるミスだ。

ミスがあるのならば、取り返さなければならない。

「お前は殺さない」

「何を言っている」

「マヤの隣にいるのは、俺だ!」

持国は自分の心臓を自分の腕で、貫いた。