妖魔03(R)〜星霜〜

最上階へ辿り着いた時には、死体はなかった。

全て、使い切ってしまったのか。

「はあ、はあ」

部屋の数は二つ。

迷っている暇もなく、手前のドアを開ける。

派閥のボス同士が、対峙している。

部屋の中は狭く、大きな机と椅子が一つあるだけだ。

そこは、剣を振り回せない状態であり、増長は剣を手放していた。

「ギャハハハ!遅いぜえ!」

増長は余裕の笑みで私の気配を察知する。

持国は無表情で、私を一瞬だけチラ見して視線を戻した。

「ギャハハハ!他の奴らは腑抜けすぎていけねえ!俺様はな、テメエと殺りあえてワクワクしてんだぜえ!」

「俺達の甘い生活を破壊する者は、誰であろうと殺す」

「ギャハハハハハハハハハハ!口だけじゃねえってところを見せてから言えやああああ!」

マヤの姿がない。

もう一つの部屋にいるのか。

二人の戦いは二人に任せておいた方がいいだろう。

私が動く前に二人が動き始めた。

増長が大きな拳を振り下ろす前に、指先で腹に穴を開ける持国。

それでも拳は止まらない。

持国は片腕でガードしたが、後方へと吹っ飛ぶ。

瞬時に腹の傷が治り、持国が怯んでいる間に増長が頭を掴む。

「穴に落ちるって事がよお、どれだけスリルがあるか試してやるぜえ!」

増長は後方にあるガラスに持国の頭を打ちつけ割ると、そのまま飛び降りてビルから落下していった。