妖魔03(R)〜星霜〜

増長の動きが止まってから、一分が経った頃。

勢いに乗って、持国の部下がビルへと攻め込む。

大体の部下が背中を見せた頃、増長が起き上がる。

「背中向けてるんじゃねえよ」

持国の部下が背後の声に驚愕したところで遅かった。

「ギャハハハハハハハハハハ!俺様が死ぬわけねえだろうが!このボンクラどもがああああ!」

大剣によって真っ二つになる者、腕や脚を斬られる者が続々と出没する。

段々、恐怖に駆られ、逃げようとする者も現れる。

しかし、それを許さないのは増長の部下達。

「ボスに近づかず、奴らを殺せ!」

刺青の男がシャムシールを振るいながらも、部下達を先導する。

劣勢になる持国軍勢。

誰しもが、増長を殺す方法は解らない。

殺す方法を知らないければ、足止めをして他を攻めるしかない。

持国がいないという事と、前線部隊に全てをつぎ込んでなければまだ可能性はあるが、私としては、早く持国に逝って貰いたいというのが本音だ。

しかし、今の様子であれば、持国の近くにマヤを置いておくのは危険である。

見ているだけではいけない。

虐殺の観察を途中で切り上げ、私は持国のビルへと急いだ。

「はあ、はあ」

持国は一体、どこで情報を仕入れたというのか。

情報を知っているといえば、私、増長、刺青の男、多聞になる。

多聞がバラしたという事になるのが手っ取り早くて解りやすい。

だが、もし、刺青の男が裏切り者だったとすれば?

もし、増長がこうなる事を自ら仕組んだとすれば?

もし、私と増長の会話、刺青の男との会話が向こうにバレていたとすれば?

スパイを送り込んでいたのならば、最後のも可能性は少なくない。