妖魔03(R)〜星霜〜

「何のために、そんな実験を行う?」

「くく、君は疑問を持ってくれるから楽しいな。実験は受けてはくれないようだが」

多聞は、少々しつこいところがある。

「私はね、自分の作った旧世界を新世界がどう塗りつぶすのか、それが楽しみで楽しみで仕方がないのだよ」

「闘わせるという事か」

「お互いに闘えと言って闘うのではつまらない。自然の中で生み出された出会いで起こる闘いだからこそ、真価が問われるというものだろう」

「あなたは、自分の作品を大切にしないのか」

「何事にもデータは必要だ。そして、力を求めるという事は使用するという事。彼らには済まないとは思うが、こちらも利用させてもらう事にしているのだよ」

多聞という男もまた、どこかがおかしい。

「決して、新世界だけを贔屓しているわけではない。旧世界でもベストを尽くしメンテナンスも行う。当事者の使い方次第では旧世界は新世界を押し返す事も出来る。その結果も、私としては望ましい物ではある事には違いない」

「博士」

多聞が熱弁しているところで、影から現れたのは二十歳程度の白衣の女性。

透き通るようなブロンドの髪を持っている。

「どうした?」

「望む者が一名います」

「そちらへ向おう」

多聞は女性に付き添うように歩いていく。

「君の起こした行動が、どういう結果になるのか興味深いものがある。健闘を祈っている」

一言だけ残し、二人は闇の中へと消えていった。

「実験、か」

多聞が少年であった事にも驚いたが、人体実験を行っているのにも驚いた。

人体実験の末に、妖魔という化け物に近づくのか。

この世界では、望む者も少なくはないのだろう。

そういった意味では、多聞も上に立たされたという事か。