妖魔03(R)〜星霜〜

部下に睨まれつつも、私はビルから出る。

常に淀んでいる外の空気さえ、今の状態では美味く感じた。

あの時から、自分の感覚がおかしくなっているような気がしてならない。

拳銃をコメカミに押し付ければ、無理もない。

私は、久々に自分の家に帰る。

色々と考え事をしていたせいか、裏道から帰る事を忘れていた。

表道では無頼漢達が襲い掛かってこようとする。

ナイフを作り出し、ある程度の怪我を負わせると、土下座をして逃げていく。

内なる世界も変われば、外の世界は嫌でも変わってしまうようだ。

私を遅いかかった人間は、嫌でも死に直面した事がないのか。

二日後には、派閥と派閥がぶつかる。

何も知らない人間は、紛争に巻き込まれる事があるかもしれない。

私は、正義ではない。

誰かに手を伸ばそうとも、思わない。

巻き込まれていようとも、マヤの元へと行くだろう。

家に着くと、私と同い年ぐらいの見知らぬ金髪の少年が私の家を見ていた。

白衣を着ているのだが、白衣を着ていなければならない理由でもあるのか。

「誰だ?」

「くく、気にしなくてもいい。自分の家なのだ、好きに寛ぎたまえ」

鳥肌を感じるほどの、空気をまとっている。

空気が重い。

「何者だ?」

いつでもナイフを作り出せるように、意識を集中させた。

「私の存在を知ったところで、何かが変わるわけでもないのだがね」

何ら変わりのない世界に在るというのに、視界の色が違って見える。

「ここでは多聞と呼ばれている」

四派閥の長が一人。

だからか、化け物として見えてしまう。