妖魔03(R)〜星霜〜

刺青の男は、シャムシールを手にしていた。

今の一撃が持国であったのなら、死んでいただろう。

「増長はいつかはやると言っていた。早いか遅いかの違いだ」

「俺は、ボスが暴れる事を何とか抑えてきた」

「何故だ?」

「ボスが本気を出して暴れれば止まらない。敵も味方も関係なくなる」

だとすれば、何故ボスなどという上の立場の人間に祭り上げられたのか。

「ボスの強さは人を魅了する。それ故に、部下がついてきている」

「今の部下は、知らないのか?」

「部下は噂でしか知らない」

強い人物の下につけば、良い思いが出来るとでも思ったのか。

誰しもが、誰かに縋らなければ生きていけないのか。

噂であるから信じる必要はないとでもいうのか?

「本当の事を教えればいい」

「教えてどうなる」

「今からでも遅くはないだろう」

「紛争でボスがお前達を殺すかもしれないから、戦闘から逃げろと?そんな弱腰な人間はボスの下にはいない」

「ならば、諦めろ」

そう、それは巻き添えを食らってもいいという事になる。

「端から他人に寄生して甘い汁を吸ってきた。本当の事を知る良い機会だ」

腕を払いのけ、距離をとる。

「あなたが何をしようともう遅い。抗議をするならボスに直接すればいい」

「地獄になるぞ」

今も地獄と変わらない。

シャムシールを下げた刺青の男は部屋の中へと入っていった。