妖魔03(R)〜星霜〜

「何故、私に拘る?」

風間が興味を持ったからといって、親交は深くない。

「お前の少女を助けようとしていた目はここにいる人間よりも、淀みがない」

「それで、助けるというのか?」

「誰しもが荒んだ目を持っている闇の世界で、そんな人間に興味を抱かない方がおかしい」

解らない。

私が風間を助けたわけでもない。

「私は、人を殺した」

自分が助かりたかったから、目の前の男を殺したいと思った。

「だが、お前は涙を流した」

「自分が助かったからだ」

本当に、男が死んで良かったと思った。

「誰のせいにするわけでもなく、自責した」

「本当は、誰かのせいにしたい」

誰かのせいにすれば、何もなかった事になる。

「あの叫びが本心でなかったら、何だというのだ」

「嘘だ」

私は、まだ人間であろうとするのか?

「お前には、まだ欲望のままに動く事は出来ない」

「すべて、演技かもしれない」

「演技であるならば、何故、余計な時間をかけようとする?痛いのだろう?苦しいのだろう?余裕がないのだろう?」

言葉に詰まる。

「欲望で生を成す人間なら、自分が助かる方向で演技をするだろう。それに、お前はそこまで計算高いようには見えない」