妖魔03(R)〜星霜〜

「私が、与えた」

持国が固まった。

「私が敵だと判断して、彼女に傷を与えた。しかし、治療はしてある」

「ああ?」

マヤを離すと、私に近づいてくる。

そして、避ける間もない拳が私の腕に当たると、横へと吹っ飛ぶ。

地面を転がり、壁へと激突する。

「があ」

腕に激痛が走る。

骨が折れている。

何で、あんな一撃が放てるのか。

「目に入れても痛くない、マヤに何してんだ?あああああああああ!?」

激昂し、顔を紅くしている。

「触るだけでも問題なのに、それを何だ?傷つけた?お前は、生易しい殺し方じゃ気がすまないなあ」

持国の部下達が現れると、私の腕の痛みを関係なしに連れて行く。

「アヤあ、痛かったろお?俺が良い子良い子してやるからなあ」

聞こえてくる声を背にしながら上階に連行され、いくつもある部屋の一室で鉄枷を腕と足に装着され、張り付けにされる。

「お前、死んだよ」

部下はそう言うと、出て行った。

骨の折れた腕が痛む。

私は、間違ったのだろう。

持国に娘がいるからといって、常人であると勘違いした。

あれは、普通の愛し方ではない。

「ぐう」

私は、何のために生きてきたのか。

解らない。

正しい事はどこにもない。

そして、神などどこにもいない。

現状は、最悪だ。