妖魔03(R)〜星霜〜

「持国さん!」

腕を捕まれた男は、怯えを隠せていない。

薄紫色の髪の男、持国は感情のない瞳で男を見ている。

服装は、ティーシャツに黒のジーパン、運動靴である。

「ここは、お前の縄張りじゃないんだぞ?」

「す、すいません」

「今度、勝手な真似しようっていうなら、俺がお前を殺すぞ?」

「へ、へえ」

持国が腕を離すと、腕には掌の後がついていた。

「お前ら、ここを出たいのなら仕事をしろ」

持国の言葉によって、屯していた男達は外へと旅立って行く。

「ウチのモンが余計な事をした。悪かったな」

「それよりも」

後ろに隠していた、マヤを前へと出す。

「マヤ!」

持国は顔を急に緩ませると、マヤに抱きつき頬にキスの嵐を与える。

時には、唇にもキスを一方的に与える。

「ああー、会いたかったぞ。マヤあ、マヤあ」

持国はマヤの事を好いているのは分かった。

しかし、マヤは表情を変えない。

温度差を感じるのは、気のせいか?

「おー、おー、どこに言ってたんだ?愛娘よー」

頬擦りしながらも、またキスを連続で行う。

犬の様に、唇や頬を舐めたりもしている。

マヤはオルゴールを握ったままで反応を示さない。

私と血の繋がりのある他人とでは考えられない仲の良さだが、過剰ではないか?

持国の部下が見た事がないというよりは、持国があまりに娘を好いているが故に、隠匿していたのではないのだろうか。

「んー、この傷はどうしたんだ?」

持国は私が傷をつけた場所に気がついた。