妖魔03(R)〜星霜〜

信用するかどうかは別として、私は同意した。

同意した根拠は、私とマヤを助けた事。

ミス広目という四派閥の長の命令である事。

私に興味があるという事。

全てが本当で正しいとは限らないが、広目の名前が挙がっているだけでも十分な理由になる。

ビルまでは多少の時間はかかる。

「私達は常に、茨の道を歩いている」

風間は歩きながらも語り始めた。

「茨に触れれば痛みを伴う。しかし、私達に逃げる術はない」

「だから、神様にでも祈れば、いいというのか?」

「茨が無くなる事はないが、痛みを和らげる事は出来る」

「目の前の物事から目をそらしているだけだ。神など居ないし、和らげた痛みが反動として帰ってくる事もある」

そして、今の状況で神に祈れば救われると思っている人間は騙され、身包みを剥がされ、殺される。

風間は力が在るからこそ、何ら問題はない。

しかし、私達のような力のない者が信仰するのは、本当に馬鹿げている。

そう、神に祈って助かるのであれば、私達は死ぬかもしれない世界にいない。

親に売られたりなどしない。

そんな奇麗事でごまかされる程、温かな世界に住んではいない。

「何故、そこまで神を信じる?」

「私は一冊の本を拾った」

風間は空を見上げて、神を見ているのか。

「そこには神のお言葉、御心が書かれており、神秘を感じた。神は必ずいると、私を導いてくれると、そう思わずにはいられなかった」

風間が決して大きくはない一冊の本を懐から取り出す。

私には神々しさよりも禍々しさを感じた。

何故ならば、その本によって、風間は存在する自分よりも存在しない神を信じるようになってしまったからだ。

「ここには私を信じさせる物が描かれてある。見るか?」

「遠慮する」