妖魔03(R)〜星霜〜

「助けてもらったことには感謝する」

スーツの上着をマヤにかけて、立ち上がらせる。

本人は、何が起こっているのか理解すらしていない。

ただ、呆然と私を見つめるだけであった。

「私は、君を守れない」

マヤは僕の言った言葉を理解はしていない。

しかし、彼女は私の頬に手を触れた。

『あ』『た』『た』『か』『い』

声は聞こえない。

読唇術を心得ているわけでもない。

ただ、そう言っているように思えた。

「私が同行しよう」

神の背いて助けられた事にも驚いたが、風間が同行する事にも驚いた。

「そんな義理はないと思うが?」

「ミス広目の命令でもあり、個人として君の事には興味がある」

広目が贔屓にする理由や、風間が私に興味を持つ理由が解らない。

私は今まで一人でやってきただけの人間。

他にもいるはずなのに、私を選ぶのは何故だ。

「ビルの手前まで送るだけだ。深くは考えなくても良い」

風間という人間を信用するのか?

最初に挨拶だといって、危害を加えた。

しかし、悪漢達から、私達を助けた。

解らない。

だが、マヤの事が在る。

同行する事が、正しいのか?