妖魔03(R)〜星霜〜

「すまない」

私は立ち上がり、頭を下げる。

「人殺しは許されざる行為。信仰心厚き者として、自分の行為で胸を押しつぶされそうで心苦しい」

神を信じる人間というのならば、殺人は禁忌である。

殺人は他人の生を奪い、未来を没する。

如何なる時でも、許される行為ではない。

だが、風間は人として助けた。

殺す必要まであったのかどうかは、解らない。

ただ、生かしていれば彼らが改心したかどうかも、解らない。

生きていれば、何かは出来ただろう。

善行、悪行のどちらかに励む事、日常をただ送る事。

しかし、人は必ずしも善であるという理屈が、すでに当てはまらない人間だ。

きっかけがあれば、人が変わるのか?

そんな物、信じるに足らない。

「罪を償う事が必ずしも死に直結はしない。だが、少なくとも私達は助かった。礼を言う」

「人を創りし神に対しての冒涜である事は確かだ。私は彼ら同様に裁きを受ける時が来るだろう。しかし、まだ裁きを受けるわけにはいかない」

「何故だ?」

「世界を変革させるためだ」

何を持ってして、世界の変革とするのか。

風間の目指す未来像。

そこに、果たして荒廃した世界など存在しない幸福の世界が存在するのか。

言うまでもない。

そんな物はないんだ。

人の欲がなくならない限り、なくならない。

地獄を体験したからといって、力を持ってして地獄をなくせるわけではない。

世の中に完全はない。