妖魔03(R)〜星霜〜

「そなたらも入らぬか」

手招きをして、野川さんたちを呼び込みます。

「何で、龍姫がいるの?」

「そこの女子から電話がかかってきたのじゃ」

乾萌黄さんを指差します。

「赤城と申したか。そなたも知っておろう、ここは裏空間じゃ」

指定した場所に、指定した人間を、入り込ませる事が出来る擬似世界でしたか。

場所だけで人はいない、孤独をいつまでも味わえるという精神鍛錬の場でもありましたか。

「まあ、結果を予想して、連絡を取ったのじゃろう」

全員が魔法陣の中に入ると、呪文を詠唱し始めました。

「知り合いですか?」

「この方は、古くから退魔師の支援をしてくれているんですの」

まさか、スポンサーだったとは思いもしませんでした。

妖魔に協力的な組織ならば、スポンサーになっていてもおかしくはありませんね。

組織といっても、部下などに払う給料や備品を揃えるお金は必要ですしね。

そんな龍姫さんからは気品と金品を感じさせるニオイがしてなりませんよ。

彼女は呪文を唱え終え、魔法陣の中を光が包み込みます。

「そなたらは何もわかっておらぬな」

一息ついたところで龍姫さんが、青筋を立てながら言います。

「何か失礼を犯しましたの?」

「ワラワを姫ちゃんと呼ばぬか!」

その可愛らしい体躯にはお似合いの呼び方ですね。

「出資者にそのような呼び方は無礼かと思いますわ」

「ワラワが良いと言っておる。のう、子鉄」

「そうね」

道端の男性が振り向いてしまうような、微笑を浮かべます。