上空から飛んでくる乾瑠璃子さんは短刀を持ってして、斬りかかって来ます。

乾瑠璃子さんの目は赤く光っているようでしたので、バックステップで避けます。

「ちっとは学習してんじゃないのさ」

肩膝をついて、地に降り立ちます。

「お褒めに与りありがとうございます。乾瑠璃子さんのスピードも一段と上がっているようですね」

「ふん!どいつもこいつも子鉄ネエの事を大切に思っちゃいない!そんな奴らは、死ねばいいんだ!」

「美しき感情が見えていますね。ですが、依頼を受けた以上は放棄するわけにはいかないんですよね」

「だったら、死ね!」

乾瑠璃子さんが前に進もうとしたところで、後ろから乾萌黄さんに肩を掴まれて止められます。

「母さん!今は止めないでよ!」

「技もまだ中途半端なあなたに、彼を殺す事は出来ませんの」

「でも!」

「ワレも言う事が聞けんっちゅうんか?」

乾萌黄さんが手に力を込めると、膝が曲がって地面に正座させられる形になりました。

「アカ・マナフさん」

「その腕力があれば、工事現場の人たちは大助かりですよ」

「あなたは、何故、依頼を受けたんですの?」

「野川さんの困難に立ち向かう姿は戦女神を思わせましてね。女神の依頼とあらば、断るわけには行きませんよ」

「人の死に関しては疎いあなたでしたわね」

手に持っていた犀角をこちらに向けています。

「ワレが退かん言うんならのう、動けんようにするまでじゃ!このボケカス!」

鋭い目つきになりながら犀角の柄を回し、近づいてきます。

身体の中に魔力の流れを感じます。

乾瑠璃子さんの封殺能力が解けたというところですか。

何もない状態で戦うのも興味がありますが、今日は相棒のナイフと共に戦いますか。