「おやおや、時間より早い到着ですか」

野川さんはティーシャツにジャケット、ジーパンという動きやすい格好ですね。

「隊長と師匠が動く前に動かないと、厄介だわ」

「私としては対峙、してもいいんですけどねえ」

「時間のロスは防ぎたいのよ」

「残念ですね、すでにロスは免れないようです」

どこからともなく、鉄球が飛んできます。

それを刀で受け止めると、鉄球は回転したまま弾かれたように戻っていきます。

「師匠」

手の平で鉄球を掴み取ったのは、退魔師である乾雲丸さんですね。

隣には乾萌黄さん、乾瑠璃子さんもいます。

いつでも戦闘態勢に入れるように、服装は退魔師用の装備のようです。

「子鉄、何故、言う事を聞かないんですの?」

「子鉄ネエ」

二人に話しかけられ、俯いていた子鉄さんが顔を上げます。

「どっちを選んでも後悔するなら、自分で判断した道を進むしかないわ」

袋の中から鞘付きの刀を抜いて輝かせました。

「師匠、私は行きます」

「お前のLOVEが弾けているのならば、私にOVERCOME(打ち勝て)!」

腕を前に伸ばすと装備しているガントレットからワイヤーが飛び出してきます。

当然のように野川さんはそれを避けようとしますが、突如として地面から厚さ一メートル、高さニメートルの凍りの壁が飛び出ます。

ぶつかりそうになったところで、刀を氷に差し込んで途中で止めましたね。

「世界を覆すは、SOUL&JUSTICE!」

隙の出来た野川さんに、乾雲丸さんは前へ走りながら大振りで鉄球を投げつけましたよ。

野川さんは刺さった刀を抜くのと同時に氷を蹴って高く飛び上がって回避します。

そして、乾雲丸さんへと斬撃を与えようと空中から加速を付けて刀を振り下ろします。

「何とも華麗な動きですねえ。尊敬しますよ」

「何余裕こいて、ぼーっとしてんのさ!この変態メガネ!」