妖魔03(R)〜星霜〜

壁が崩れ落ち向こう側から出てきたのは、男達と女達の姿。

ちゃんと数えれば、六名。

「む!妖魔か!」

刀の柄に手をかけようとした空気岩を殴り飛ばして、冷静に相手を見る。

年齢は二十代、三十代がほとんどだろうか。

退魔師の空気岩が妖魔と感じ取ったのならば、妖魔なのだろう。

「チェリー?お前は、チェリーか?」

妖魔側の一人の男が、驚いた顔をしながら近づいてくる。

アルコール中毒者のように男の手が震えている。

チェリーは俯き加減の顔を上げた。

「チェリー!」

男はチェリーに抱きつく。

まるで、親子のように。

親子?

まさか、この男が?

おかしくはない。

村の妖魔達は全て死に、残るは出て行ったカメリアの夫になるのだからな。

しかし、カメリアの夫以外にも人がいたとは、思いもしなかった。

「会いたかった」

感動の対面といったところか。

チェリーも父親の胸の中に顔を埋めて、感情をぶつけている。

他の妖魔達は、こちらを物珍しい目で見ている。

壁の向こうから掘ってぶち当たるなんて、都合がよすぎやしないか?

「ちょっと、いいか?」

話を聞くべく、二十代の妖魔に話しかける。

「ん?君は?」

「村で世話になった、葉桜丞っていうんだ。この穴は誰かに掘れと言われたのか?」

「我々が世界を取り戻すために、助言をしてくれた者がいた」

何を言ってるんだ。

村の妖魔が死んでしまった事を知らないのか?