妖魔03(R)〜星霜〜

辿り着いた先は大きな空間であった。

手を加えられていないままの空間。

「行き止まり、かよ」

しかし、どこにも繋がっていない。

信じたくはないところだ。

「残念である。某もまだ全てを繋げる事は出来なんだ」

「この通路、お前が作ったのかよ?」

「左様、陣内殿に頼まれた」

「陣内?」

「陣内蛍殿だ。退魔師の中でも屈強の戦士と言われている」

親父か。

独身だった頃の苗字は知らなかったので戸惑ったが、頼んだのならば通路を知っていたのも頷ける。

しかし、何故通路を作ったのか。

「陣内殿は素晴らしい。地下通路で海を越え日本に辿り着く寸法であるな」

どれだけ頓珍漢な奴なんだ。

他人から見れば、俺もコイツも頓珍漢である事には変わりないだろうがな。

しかし、この低さで地下を掘り進んで海に出たとするなら、溺死するのがいいところだ。

それに、何年かけるつもりだよ。

海の事を千歩譲ったとして、どっち道、辿り着く前にジジイになって死ぬぞ。

本当のところはどうなのか。

親父の事だから、妖魔にとって悪い話ではないような気がする。

一方的に殺戮を行うという思考はないだろうし、何より郁乃母さんと結婚した男だしな。

「行き止まり、か」

このまま立ち止まっている場合でもないのだが。

後ろに戻る事も出来ない。

「くそ」

その時、空間の壁にヒビが入った。