妖魔03(R)〜星霜〜

「痛い、人をいきなり殴るとは何たる輩か」

油断した隙に空気岩の顔面にパンチをお見舞いしておいた。

「斬られたチェリーはお前の数千、数億倍痛いんだよ。それでチャラだと思うなうよ」

このアホは斬るという事の意味を解っているのか。

斬られれば痛いし、後だって残る。

傷が浅いから良いというのはありえない話だ。

俺達は歩き続けている。

先に何があるか、空気岩に聞くのは癪だった。

しかし、敵の集合している場所に辿り着いてしまったら、お仕舞いである。

「お主、某の妹の事を知らぬか?」

「妹、ね」

空気岩の妹といえば一人しかいない。

野川子鉄。

多分、空気岩と子鉄は血が繋がっていない。

過去の話で家族と一緒にいなかったとすれば、そうなるだろう。

知り合ったのは、退魔師に入ってからか。

今、ここで知る事を話せば、面倒事が増える。

襲ってくるのは解りきった事だ。

それよりも、俺の事を忘れているのにも関わらず、妹の事を聞いてきても、普通の人ならば知るはずもないだろう。

「知らねえよ」

「残念である。某の可愛い妹を知らないとは、お主、相当な損をしている」

「そうかよ」

俺だって知らないフリをしたいわけじゃない。

「早く日本に帰って、某の勇姿を見せてやりたい」

子鉄が、空気のような空気岩が帰ってきて喜ぶだろうか。

「俺達は一刻も争ってるんだよ。余計な会話に華を咲かせてる場合じゃねえ」

親父達にもしもの事があれば、俺達に被害が及ぶ。

だからこそ、出来るだけ遠くに逃げなければならない。