妖魔03(R)〜星霜〜

「あんた達はそっから逃げな」

洋子の指先はベッドに向いている。

「下に通路でもあんのか?」

「よく解ってんじゃん」

ベッドの横を持ち上げて、床を見ると正方形の両扉がひっそりと佇んでいた。

RPGでよく見る風景だが、実物で見るのは初めてだ。

扉の先は階段になっているようだ。

「ティア、チェリーを頼む」

二人を先に促す。

親父達が用意しているのだから、先に危険は少ないだろう。

それに、チェリーは俺に近づきたくはないはずだ。

だからこそ、今はティアに任せた方が良い。

チェリーは俯きを変えずに、地下二階へと降りていった。

「洋子さんって言ったか、退魔師なのか?」

「そ、たまたま蛍に呼ばれたら、基地だったってわけよ。だからさあ、疲れたお姉さんの事、癒してくんない?」

「たまたまって、この島に何の問題なく来れるのか」

「行ける場所は限られてるけど問題ないよっと、誘いをスルーすんならあんたも早くいきなよ」

「ああ」

俺も地下の隠し通路へと降りていく。

「おい」

上の扉を閉めようとしたところで、親父に呼び止められる。

「何だよ?」

「女の子を泣かせるなよ」

「お前が言うな!」

怒りを覚えながら、壊れるくらいに強く扉を閉めた。