闇の中、周囲を注意しながら扉付近に近づく。

人気はない。

今なら、忍び込む事は可能か。

「よし、いくぞ」

俺、チェリー、ティアの順番で並びながら、中へと入る。

俺は拳銃の安全装置を外して、いつでも撃てるようにしておく。

誰かを、殺してしまうかもしれない。

奇麗事は通用しない。

解っている。

だけど、手が震えている。

誰かを殺す事なんて、慣れやしない。

破壊された扉の向こうは、通路になっている。

通路の大きさは、横幅は三人並んで歩けるくらいだ。

天井までは三メートルはあるだろうか。

映画に出てくる研究所の通路を思い浮かべると解りやすいかもしれない。

「まさか」

この通路、本部の裏口だとでもいうのか。

海から遠ざかる方に動いていたから、そうかもしれない。

前方には左右に道が分かれている。

最初に地図を探すべきか、こちらに注意を向かせないようにするために管制室で操作をしに行くべきか。

それとも、武器庫で武器を調達すべきか、すぐに出口を見つけるべきか。

情報、物資、色々あるのだが、時間が限られている。

どれにせよ、最初は勘でしかないのには違いない。

曲がり角で顔だけ出して確かめると、誰もいない。

おかしい。

手薄とはいえ、何故、ここまで人がいないのか。

裏口も重要なのだが、ある程度重要な場所だけ、兵を配置させているとでもいうのか。

上空を確かめても、監視カメラは見当たらない。

確認できないような、高性能の小さなカメラを壁に忍びこませてあるのだろうか。

悩んでいても埒は開かない。

右の曲がり角を進んでみると、曲線を描いた一本道が延々と続いていた。