兵士は来ない。

村の調査に兵士をつぎ込んでおり、裏口は手薄になっているようだ。

セキュリティーシステムもティアの麻痺能力によって、作動しない。

今がチャンス。

しかし、動けない。

チェリーも魔力を失っているせいで、疲労を負った顔をしている。

「はあ、はあ」

焦って無理に動く事は危険か。

しかし、いつ調査が終わるのかはわからない。

つぎ込んでいるのなら、調査は早く終わってしまうだろう。

「くそ」

調子を見れば、一日は必要か。

「チェリー、ティア、辛くないか?」

「少し、しんどいけど、大丈夫」

「ブヒ」

しかし、少しだけ息が上がっているようだ。

チェリーは子供なのに、無理をさせすぎていると思う。

自分の能力の不便さに腹が立つ。

しかし、なければ何も出来ないのだ。

「ティア、俺を引っ張れるか?」

「ブヒ」

奥に行く事は危険で、留まる事も危険だ。

だから、どこかに隠れて、回復を待つしかない。

「見えにくい場所まで頼む」