今まで出来なかった。

いや、してこなかった。

それで、迷惑をかけた。

魔力を使い、寿命を削り取り、波動を打つだけなら今までと同じ。

大きく放たれる光を、小さく収束するイメージに書き換える。

手の平に魔力を送るイメージ、光を扱うイメージ。

二つを同時にイメージさせる事は、集中力が必要だ。

他の事を切り捨て、それだけを強く思う。

集中するにも練習は必要かもしれない。

だけど、時間はない。

成功させるしか、道はない。

「ふう」

体中にある魔力は、ほぼ光へと注ぎ込んだ。

しかし、一度、実行した行動は最後まで行おうとする。

光は自分を満足させるために、体の中の生命力を吸い取っていく。

「ぐう」

生命力が押し込まれていく。

だが、彼女達の魔力のおかげで、以前よりは吸い取られる量は少なくて済んだようだ。

光は、手の平に直径一メートルの球にまとまったまま、飛び立とうとしない。

無理矢理押さえつけているといってもいい。

扉を溶解させるのは、今しかない。

集中力を切らさないまま、光の球を作り出した手を鉄の扉へと押し付ける。

結果は、光が止むまで解らない。

光を扉に当て続け、しばらくすると光は弱まり始めた。

完全に光が消失すると、地面へと倒れた。

寿命を多く使わないからといって、魔力は使い果たしてしまっている。

だから、身体の自由を失ってしまい、動けなくなる。

震えながらも首だけを動かすと、扉があった場所は溶かされ、大穴が開いていた。

「やった」

扉の向こうに何があるのかは解らない。

だが、第一段階はクリアしたといってもいい。