妖魔03(R)〜星霜〜

「ブヒー!」

ティアがカンフーならぬ豚フーを繰り出す。

拳銃を下に向けようとしたところで、ひづめを鳩尾に打ち込む。

そして、ジャンプ回し蹴りを同じ場所に当て、ハニーを後方へ吹っ飛ばす。

「ブヒブヒ」

ティアが何かを言っているようだが、また解らなくなってしまった。

「ティア、お前、すげえじゃねえか」

「ティア姉ちゃん、ありがとう!」

正直、驚いた。

人間の姿でいる時と、豚の姿になった時のギャップが激しい。

「ブヒ!」

チェリーが胸を張っているティアに抱きついている。

しかし、ハニーを確かめない事には、終わったとはいえない。

俺はハニーに近づこうとしたところで、いきなりハニーが立ち上がる。

「いったーい!この馬鹿馬鹿馬鹿!」

腹を押さえながらも拳銃を向けようとする。

俺は立ち上がった時点で、チェリーを抱えて横に飛ぼうとしていた。

だが、ハニー・ロッカーは震えていた。

「腕が、うごかなーい!?」

「ブヒ」

ティアの能力だろうか。

近づいて打撃を与えてからじゃないと、発動しないんだろう。

動かないという事は、体の部位に異常を来たすものなのだろう。

「ふう、お前には何度となく救われたな」

ティアの頭に手を置く。

「ブヒヒ」

手を差し出しているところ、物を寄越せとでもいいたいのだろうか。

そういえば、お吟さんから林檎を貰ったんだったな。

「お前にやるよ」

俺が懐から林檎を取り出し与えると、高速に咀嚼しながら味わっていた。