妖魔03(R)〜星霜〜

「チェリー、足は痛くないか?」

荒い道を30分程度歩いてからチェリーを伺う。

「痛くないよ。ありがとう、お兄ちゃん」

「そうか」

少し息は荒くなっているが、本人の目にも意志はある。

「丞さん丞さん、ティアの足はパンパンに膨れ上がってますよう」

「お前は豚だからな。気にしない」

「チェリー、丞さんがティアの事をいじめるですう」

「お兄ちゃん、酷いよ。ティア姉ちゃんはとても可愛らしい豚なんだよ」

「すまんすまん。ティア、お前は可愛らしい『豚』だよ」

「二人とも、あまりのショックでティアはもう歩けないですう。仕方なしで丞さんの欠食童子の背中に乗ってあげるですう」

背中に乗っかってこようとしてるところに裏拳をかまして、再び歩き続ける。

後方でティアが立ち上がったかと思いきや、俺よりも軽いステップで後を追いかけてきた。

「後三千里歩いても問題はなさそうだな」

「丞さんは本当に紳士としての振る舞いが出来ない野蛮人ですう」

「結構結構。俺は紳士じゃなくていいから、これからもお前をぶちのめす」

「解ったですう!丞さんはティアに触れたいから殴るんですう。拳にティアの感触を残しておきたい、でも、それを口ではいえない。そんなこんなで丞さんは恥ずかしがりやだったんですう。本当、顔に似合わない考えを持ってるですねえ、オグ!」

「お前を今すぐ焼き豚にしてやりたい!そして、解説が長い!」

鳩尾に指先を突っ込む。

「お兄ちゃん、アレ」

チェリーが何かを見つけたかのように前方を指差す。

指差した方には、街のような建物が並んでいる。

何かの施設のようにも見えるが、中を見てみないことには解らない。

そして、潮の香りが微弱ながら漂っているようだ。

「道は間違っていなかったって事か」

「お見事ですう。この調子で丞さんはティアの盾になって前を歩くですう」

「はあ、せっかくの喜びを、ふいにするような事を次々と言い出すなよ」

だが、まだ終わりではない事は確かである。