妖魔03(R)〜星霜〜

「解った」

自分の感覚を失う事を恐れてはいけない。

誰にも頼れない以上、やるしかないんだ。

二人を守って子鉄ちゃんに会うんだ。

「今のお前の様子からすれば、大した期待はしないアル。はむはむ」

お吟さんは自分の尻尾を毛繕いしている。

助けてくれよなどとは言う気はない。

本来ならば、お吟さんと出会う事はなかったかもしれないんだ。

それに、変鎖まで施してくれたんだ。

十分だろ。

「もう一回、言っておくよ。ありがとう」

「ん」

俺は立ち上がり自分の腹の調子を確かめる。

痛みはなくなっていないが明日には動ける。

あそこまで悪化していたのに、回復させたお吟さんはヤブ医者とは程遠い。

「もし、もしだ、俺が島から出る事が出来たなら、ゆっくり話をしよう」

「出来ればアル」

お吟さんが俺に林檎を投げる。

「くれるのか?」

「餞別アルよ」

「ありがとう。でも、もう一度、絶対にお吟さんと会うよ」

「物好きな奴アル」

「おいおい、お前さんが吟を口説くなんて100億光年早い」

後ろの影から出てきたのは親父だった。

「顔なんて見たくなかったが、お前さんに聞きたい事があってな」

「あんたの問いに何で答えなくちゃならねえ?」

「お前さんに拒否権はない」

親父の声が一気に重圧をかけたモノへと変化する。

「お前さん、レインという女に会ったな?」

「何故、あんたがレインの事を」

レインが何年前に島に来たのかは解らないが、会った事があるのだろうか。