しばらくすると、細かく爆ぜた音と周囲を包む焼けた臭いが鼻腔を突いた。

「ぐう」

先ほど親父に殴られた事により、傷が開いてしまっている。

「手術が必要だな」

近くに親父が立っているという事は、脅威が去ったのだろう。

多分、軍服達は、木っ端微塵になったに違いない。

よく見ると、親父の口からタバコが消えていた。

「タバコ、爆弾、なんて代物、使うなよ」

「ふう、タバコは止められなくてな。でも、戦でのタバコは邪魔になるし、お父さん、本当に困った末に決めたんだよな」

普通のタバコなのか、タバコ爆弾なのかは解らないがもう一本吸い始めていた。

でも、放すタイミングを間違えれば、自分が爆発に巻き込まれるからとてつもなく危ない物だ。

タバコの煙を俺の顔面に吹きかける。

「ごほごほ、いててて!」

咽るだけで、身体にダメージを与える。

「全く、お前さんがお父さんの事をお前とか言うからだぞお」

「お前は、お前だろうが」

「近来、躾をDVだの犯罪だの言うがありゃ間違いだ。腐ったガキを作り上げない立派な教育だとお父さんは思うんだ。まあ、過剰な物は訴えられても文句はないが、お前さんはどう思う?」

「こっちは、傷が痛いんだよ。そんなのに答えてる場合じゃねえ」

麻酔などしていないので、半端じゃなく傷が痛い。

動けといわれても、セブン〇ンシズでもないし、男〇塾生でもないし、死〇でもないので無理だ。

「お兄ちゃん!」

遠く離れた位置から、チェリーとティアが駆けつける。

「大丈夫?苦しそう」

「あ、ああ、少し、傷が痛むだけだ」

「おいおい、無茶するなよ」

「一体、誰のせいだと思ってるんだ?」

「それより、お嬢さんの名前を教えてくれないか?」

親父はチェリーに興味を抱いたようである。