妖魔03(R)〜星霜〜

チェリーの肉親はまだ一人、残っている。

この島にいるのかどうかも解らないし、生死も不明だ。

でも、大事な用であっても、家族を置いて行くような奴だぞ?

俺の親父とだぶる。

あいつも、大事な用があったかもしれないが家族を置いていった。

自分から、離れたいと思って離れたわけではないのかもしれないけどな。

一方的に、悪と決め付ければいい問題でもないのか?

どうする?

美咲との約束を優先して、さっさと島から出るか?

それとも、確証もないのにも関わらず、島の中を探り続けるか?

前者が、真っ当な選択だといえる。

でも、父親が生きていて島にいたとすれば、会えた時にチェリーは喜ぶだろう。

解りやすい選択だ。

チェリーの感情を取るのか、俺達全員の生を取るのか。

「お前の、父親を探そう」

「え?」

「帰ってきてないだけだろ?生きてる可能性だってある」

「ホント?」

「本当のところ、絶対とは言いにくい。それに、安全を取るなら、お前を島の外へ連れ出すのが当たり前だと思う」

「で、でも、お兄ちゃん、お母さんにも自分の用事があるって」

「あるっちゃある。だから、探しながら俺の用事をこなす」

そう、出口を探すか島をうろつくかの二択で考えるから悪いんだよ。

出口を探しながら、チェリーの父親を探すなら問題はない。

危険である事には変わりはないんだ。

「ティア、お前はどうするんだ?」

「ブヒブヒ、ブヒー!」

片腕を天に上げているところ、付いてくるというところだろうか。

まあ、動ける豚がいてくれたほうが心強いわけだがな。

どうせなら、人間の姿に戻っていてくれたほうがティアっぽくていいんだがな。

お吟さん探しもあったほうがいいのだろうけど、多方面に目をやるのも問題だな。