妖魔03(R)〜星霜〜

チェリーの暴走途中なのを止めたのもレインがしたのだろうか?

ティアが物凄い運動神経を持っていたとしても、呪文を豚語で唱えられるだろうか?

発動条件にもよるだろうが、豚語っていうのが考えにくいんだよな。

そういう事を踏まえると、レインのほうが有力になってくる。

あいつは結界を破るほどの能力があるし、村に変鎖の技術を持ち込んだのもレインだ。

なら、何故?

レインの台詞からすると、期待をしている人物を裏切らないためか。

俺を殺さなかったのは解るにしても、チェリーを助けてティアを放置する理由は?

ギリギリの精神状態で生かしておこうという事だろうか?

それを考えるよりも、現状を見よう。

「チェリー、痛みとか違和感はないか?」

「うん」

「そうか」

チェリーを見ると、美咲の時のように毛が生えているのと、目つきが動物っぽくなっているのと、手が虎だか狼だかわからないが、変化を及ぼしている。

「お母さんがね、お兄ちゃんに付いていく時は、我が侭を言うんじゃないよって」

「ちょっと待てよ。何で、カメリアがチェリーに付いていくような事を伝えるんだ?」

「解らない。でも、そう、言ってた」

カメリアは予め解っていたという事なのか。

絶対的権力者の長老も解っていた事になるよな。

止める手段とか考えなかったのか。

何でだ?

皆を殺さない方法、自分を殺さない方法、色々と考えればあったじゃないか。

村から出ても生き残れる確証はないからなのか?

集団で心中してるじゃねえかよ。

でも、逃げたとして、テンプルナイツに出会う確率は大きい。

レインがテンプルナイツにバレずにどうやって村の外に交渉しにいったのかは謎ではある。

「お前が、生きていてくれて、良かった」

「でも、寂しいよ。悲しいよ。お母さんも、モンドも、いなくなった」

チェリーは再び泣きそうになっている。