「あああああああああああああああああああああああ!」

叫びながら、目を開ける。

するとどうだろうか。

周りにいた妖魔達や忌み嫌う者の姿はない。

そして、俺がいる場所は見覚えのある、家の中であった。

「夢、だったのか?」

最悪の目覚めといってもいい。

そして、目覚めても最悪な気分が去る事がなかった。

「そういえば、チェリーは?豚は?」

今いる場所がどこかよりも、気絶する寸前に見た情報に整理をつける。

まず、長老が殺された事によって、村に異変が起こる。

それは、皆が強制的に変鎖が解けて暴走するというものだ。

カメリアやチェリーにも該当し、何とかチェリーだけを逃すために村の外まで急いだ。

後一歩のところで登場したロータス兄妹。

俺は暴走したリーフを殺してしまう。

その後、突如現れた豚によって、ウッドは無残な姿になった。

最後に、俺の視界の色が消えてしまうのだ。

そう、自分の映る色も殺してしまったんだ。

今は無彩色で囲まれている。

「俺は、何も、出来なかった」

暴走を止める手段もハンスを止める手段も、何も思いつかず何も出来なかった。

自分自身の無力は嫌というほどわかっていたけど、追い討ちをかけるように事態が急変しすぎている。

心は、折れている。

「これが、裏切りの報いだっていうのか?」

趣味の悪い神様の遊びにつき合わされているのだろうか。

どん底になる一方で、俺は家の中を見回す。

先ほど見覚えのある家と言ったが、村に来る前に美咲とお吟さんと暮らしていた家の中なのだ。

そして、自分の腹の部分には包帯が巻かれているようである。

人の気配はしないようだが、広間の方から扉の開く音が聞こえてきた。