妖魔03(R)〜星霜〜

「美咲は」

「そなたが虚空を見つめたところで現実は変わらぬ。娘の事で胸を痛ませ思うのは構わぬが、生きているという妄執に囚われるのはよすのじゃ」

「うう、うええ、わあああああああああ!酷いよ!酷いよおおおお!」

久遠さんは、大粒の涙を溢れさせていますよ。

涙にはどれだけの塩分と水分が含まれているのでしょう。

「美咲が死ぬような事をしたの!?オイラ達と時を過ごしていただけなのに、何で、何で死んじゃうの?やだよ、嫌だよおおお!」

久遠さんの涙は止まることを知りません。

久遠さんが水分をだだ流れにしてるのですが、私は体の骨の調子が戻ってきています。

「久遠」

「おや、笹原さんじゃないですか」

ポケットに手を入れながら歩いてくる、笹原冬狐さんがいます。

「そなた、終わった時を見計らってきよったのか」

「彼とあなたが依頼をきっちり済ませてくれたようね」

笹原冬狐さんは久遠さんの下へと歩いて行くのと同時に、龍さんは体の上から退きます。

「そなたが久遠に信じられぬという行為によって傷ついたかもしれぬ。じゃが」

「久遠が真実を見えなくなるほど美咲を溺愛していた。娘の放棄よりはマシなんじゃないかしら?」

「そなたも久遠の娘じゃろう」

「そうね」

「そなたは、何も気にならんというのか?」

「私の感情を優先させるよりも、里に戻らなくてはならない状況になるほうが癪ね」

「自分すら愛していないというのかえ」

「さてね」

笹原冬狐さんは全身が隠れる上着を泣き止まない久遠さんの肩にかけます。

「赤城先生、これを」

笹原冬狐さんが私にペットボトルを投げてきます。

「おや、仕事が早いですね」

中には黒い汁が揺れていますね。

「赤城先生も、もう少しかかると思ってましたよ」

「龍さんというチート級の味方がいますからね。死地に行く事なく終わってしまいましたよ」