妖魔03(R)〜星霜〜

「無茶じゃったか」

「ありがとうございます。あなたが私の考えていた事を実践してくれたおかげで丸こげ料理にはならなかったですよ」

ただし、肉体はベリーレアな感じにはなっていますがね。

龍さんは、消火栓の封を開いたんですよね。

そして、水激で久遠さんを吹っ飛ばしたというところです。

久遠さんが能力を使う事に集中しており、足元に力が入ってなかったからこそ出来たんですよね。

「この傷で闘いを続行するのは無理じゃ」

「いえ、闘いはすでに終わってますよ」

「何じゃと?」

「久遠さんは、どうですか?」

「立ち上がってこぬ」

龍さんは久遠さんの飛んだ方角を見ています。

「彼女は幾度となく魔力発散ナイフで切られましたからね。今は魔力が回復する量よりも、傷口から発散する量のほうが多くなっているでしょう」

大妖魔も妖魔である事には変わりありません。

魔力が尽きれば、久遠さんの命も尽きるのでしょう。

「ならば、久遠の状態は?」

「もしかすると、私よりも危険かもしれませんよ」

「少しの間、待てるかえ?」

「ええ、私としては、もう少し骨の悲鳴を聞きながら余韻を味わいたいんですよね」

「まだまだ余裕じゃのう」

龍さんは久遠さんのほうへと走っていきました。

闘いがいつでも長引くものとは限りません。

盛り上がるものとも限りません。

今回は短い中での戦闘になりましたね。

しばらくすると。龍さんが戻ってきましたよ。

「そなたの能力は、末恐ろしいのう」

「能力まで評価されるとは、一気に会長になった気分ですよ。しかし、久遠さんの治療を瞬時に施すことが出来るあなたも素晴らしい」

「応急手当だけじゃ。それよりも、次はそなたの番ぞえ」

私の傍にきて魔方陣を描きます。