妖魔03(R)〜星霜〜

「邪魔するなよ。早く美咲と会いたいんだ」

「あなたの気持ちは尊重したいんですが、私としても銀河を貫く思いを胸にしまっていますからね」

今度は後ろへ振り返り進もうとしますが、ここもまた回り込みます。

「何で、何で邪魔するの?オイラの好きにさせてよ」

「すいませんね、私としては真夏のアバンチュールを体験したいんです。そして、笹原冬狐さんが心配してますよ」

「嘘」

「笹原美咲さんが死んでいないという事がですか?」

「違う」

「おやおや、頑固一徹、猪突猛進、尊敬の眼差しが止みませんね」

「これ以上邪魔するなら、オイラ怒るよ?」

「おや、それは好都合ですね。私としては死地に向わせてくれる相手も探しているんですよ」

久遠さんの目つきが変わりましたね。

獣じみて、すぐにでも相手を食べてしまおうという狂気の眼差しです。

「いいですね。あなたもやはり妖魔だけはありますよ」

「ウウウウウ、早くどいてよ。そうしないと、オイラ、しばらくは止まらなくなるよ」

温度が更に高まり、現在は真夏日和に近いですね。

「葉桜君と野川さんは二人で対戦してましたが、一人で相手をするのは幸福といってもいいですね」

「どけえええええええええ!」

爆発的な勢いで変鎖が解けてしまいましたよ。

目の前には私の背丈よりも随分高い二足歩行の狐さんがいます。

「目の前にするとビッグサイズですね。動物園では一番人気になりそうですよ」

「ガアアアアアア!」

口からビックなファイアボールを吐き出してきましたよ。

「おっと、変化球も欲しいところですよ」

横に避けると、真っ直ぐに飛んでいくファイアボールは地面にめり込み爆発しました。

「爆発機能までつけてるとは、ビル破壊に用いるにはいい塩梅じゃないですかね?」

連発でファイアボールを吐き出してきます。

「おやおや、一芸だけでは死地には行けませんよ」

ことごく回避すると、ところどころで地雷が爆発するかのように、アスファルトが大破していきます。