「そういえば、私、退魔師だったわね」

「どこからどうみても立派な退魔師だと思いますよ」

「同盟状態にあるテンプルナイツの島に入るのにダイビングする必要ないんじゃない?」

「私としては青い空の中で食べるハンバーグをオススメしますよ」

「あんた、真面目に考える気、ないでしょ?」

「滅相もありません。野川さんの事を第一に考えて出した答えですよ」

爽快感と笑顔を足せば、どんな世界が広がるのか。

きっと、死地に通ずる物があるんでしょう。

それを、退魔師である野川さんに体験していただければ、新たなる進化を迎えるのではないでしょうか。

「まあ、案に入れといてあげるわよ」

野川さんは隣にいる摩耶さんを見つめています。

「ウチのハンバーグならあげへんで!上げるのはパパだけや!」

「別に食い差しなんか必要ないわよ」

野川さんは自分のアイスティーを飲み干してしまいました。

「飛行機に乗る際、あんた、色々と抑えといてくんない?」

「おや、依頼ですか?」

「そうなるわね」

「教師という聖職者として、生徒の依頼には応えなければなりませんね」

「聖職者は、人殺しなんかしないわよ」

「残念な事ですが、聖職者でも生活資金は必要なんですよね。しかし、おかしいですね。荷物の中に隠れて行くという方法があるはずですが、暗い場所はお気に召しませんか?」

「少し考えたんだけど、普通の便がテンプルナイツの島に行くとは思えないわ。それに、もし、退魔師が用意した貨物用飛行機に荷物として紛れ込んでも、検査で飛行機に乗る前にバレる可能性もある。まあ、見つかっても飛行機の中の奴を抑えられるんだけど、外の奴らまで抑えられる自信がないわ」

「それは楽しい一時になる事は間違いありませんね」

乱闘ともなれば、色々な方と手合わせできることでしょう。

乾さんとも手合わせするような事があれば、死地に近づけるのではないでしょうか。