翌日には、七色の実の事を火野さんに聞きにいった。

「知らないな」

「本当かよ?」

「村の事が手一杯で木登りなどした事がないし、私は目が悪いんでね」

「七色で一つしかないんだぞ?」

「村に関係があると、君は思っているのかい?」

「この島にしても、あんな大木は珍しい部類だろ?その上に珍しい実がなっていたら、誰だって関係性を考えるのが妥当じゃないのかよ?」

「だから、私が全て知っていると?」

「火野さんは、島で最古の妖魔なんだろ?関係がなくても、珍しい物なら何か知っているんじゃないかと思っただけだよ」

「調べてみれば何かしらの事が解るだろう。実を持ってきてくれないかい?」

「ああ」

本当に知らないか、何かを隠しているのか。

火野長老はポーカーフェイスで、裏が読めない。

俺はチェリーから七色の実を拝借し、火野長老に届けた。

「数日待ってくれ」

長老は村の仕事と平行して実を調べる事になった。

他にも情報を得るために村人達に聞いてみたが、知らないの一辺倒だった。

当然、ウッドもティアも中に含まれている。

そして、数日が経ち、村から出る日も間近になった。

あれ以来、カメリアとの情事はないし、検察結果も出ていない。

カメリアとは気まずくならず、避ける事なく接している。

そして、今日も変わらずの朝を迎えた。

「丞さん、私の料理は当初の数千倍、美味しくなってますよう」

「いつも俺に食べさせようとしないじゃないか」

途中までは俺が味見をして確かめていたが、途中から自分一人でやると言い始めてから食べていない。

「今日は食べてもらってもいいですよ」

しかし、怪しい。

自称で上手くなっているとはいえ、ティアの料理を信じると痛い目に遭いそうな気がして嫌だぞ。